怪異と共存する『営繕かるかや怪奇譚』

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夏だ!ホラーだ!怪談だ!!!
ということで小野不由美さんの『営繕かるかや怪奇譚』を読みました。
装画が『蟲師』の漆原友紀さんで著者が小野不由美さんなら手に取らずには居られないでしょう。

物語は古い城下町で起こる怪異を営繕(建物の修繕をする仕事)を通して解決する話です。
基本的に怪異を退治をせずに共存する話が多いのが特徴です。
以下ネタバレを含みます。

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具体的にこんな話

たとえば一番最初の「奥庭」の怪異は、箪笥で塞がれた部屋の襖が何度閉めても気が付くと細く開いている、というもの。それは、その部屋に住み着いた女の霊が水を求めて外へ出ようとしていたから。そこで奥庭側に窓をつけて
例は相変わらずその部屋には居るようなのだが、襖が開くことはなくなったそうです。

ね、お祓いをしたり退治をせずに怪異と共存しているでしょう?
こんな感じで怪異を収めていくのです。誰も不幸になってません。すごく珍しい話だと思います。

怪異には怪異なりの理由がある

個人的に一番よかったなと思ったのは「異形のひと」という話。
両親の都合で古い一軒家に越してきた少女が見知らぬおじいさんを家で見かけるというもの。
そのおじいさんは以前そこに住んでいて、家族にイジメられて亡くなった人で、おじいさんの方も少女から隠れようとしていたのだが、隠れる場所隠れる場所少女が暴いてしまって二人とも怖い目にあうという…。不幸ですね。
少女が余りに怖がるのでリフォームをすることになり、その際長持が入れられたにも拘らず見つからない、という描写があります。明示はされていないのですが、きっとその長持は天井裏あたりに設置されていて、おじいさんは安心してそこに隠れているんではないかと思います。
読み進めるうちにおじいさんが不憫になってしまっていたので、きちんと救済措置があったのが嬉しかったです。

連載がまだ続いているようなので、続編もたのしみです。